悲憤

まず最初に、この本の監修と執筆をおそらく宮崎学がした点に疑問符があった。私自身中野太郎の暴露本を期待していたのだが、宮崎学のようなヤクザの共生者では提灯本になるのではないか？宮崎学自身が会津小鉄会系の実家であり、最近は名古屋周辺つまり六代目山口組の弘道会と親しくしているので、第一声がこりゃアカンであった。版元は大手の講談社、そしてヤクザの事始めに発売するという講談社には感心したがそれならゴーストライターを使うなりやはり溝口敦か？西岡研介辺りに書かせれば面白かったと思う。しかし溝口は現在任侠のスポークスマンで織田の提灯本を描いており、西岡は宝島社で後藤や盛力の実際のゴーストライターなので、難しかったのだろう。おそらく講談社からの著書もある宮崎が中野暴露本の仲介をしてる時点で名古屋の絵図やなと弘道会と司に感心した。結論から言えば中野が暴露本を書いてくれた事を評価して五つ星評価とした。しかし死んだ五代目と中野会副会長弘田に宅見暗殺の責任を押し付ける点で中野太郎の評価は若干下がったと思う。この暴露本では宅見暗殺事件にも触れているが、五代目の指示と明言している。中野は宅見が末期ガンなので乗り気ではなかったが、五代目から何度も電話で催促され側近の弘田に相談したら弘田が実行したと……これも死人に口なしで一方的な言い訳である。中野の性分だから渡辺に指示された時点で腹はくくった。中野会のようなワンマン組織で会長が知らずに天下の宅見を殺せるわけがないだろう。中野と渡辺は天秤である。中野の若い衆が大阪戦争で渡辺を跡目にして中野は親衛隊長に。初代山健時代の健竜会会長渡辺と相談役中野。これが五代目体制でも五代目当代渡辺に若頭補佐中野と常に続いてきた。渡辺は宅見暗殺を中野にしか頼めなかったし中野しか実行出来なかった。本来なら跡目をやった三代目山健組と桑田にやらせるのが筋である。しかし宅見に50億で取り込まれている桑田にそんなことできるはずがない。だから中野にしか頼めなかった。中野には嫌々当代の為宅見を殺したのに絶縁かいな？との思いが暴露本に繋がっている。当初は謹慎、それが破門になり絶縁。そりゃ中野は報われない。しかし頭を殺って破門程度で済むわけがない。中野は五郎を信用し過ぎた。中野が返しを禁じたのは菱に復帰する為。つまり五郎と密約があったから返しを禁じた。山重や弘田を殺られても返ししなかったのは渡辺を信じていたからである。確かに実行の指揮は中野会副会長弘田だろう。これだけの指揮をする実力と資金力は弘田以外にいない。それを風紀委員長吉野が実行したが正しい。しかし吉野の宅見のガキを殺してウチの会長に頭になってもらうんや‼︎はヤクザとして子分としては最高の子分でありそんな死んで行った子分達にワシは知りませんじゃええ加減にせえよ中野と言いたい。若い者の死が報われない。確かにこれまでも五代目が宅見暗殺を承認していた、或いは五代目の意を汲んだ中野が実行したと世間では語られていた。溝口敦も盛力もそう断言しており、当事者中野自身が五代目の指示というなら事実なのだろう。しかし中野の言い分は末期ガンの宅見を殺りたくなかったが、五代目が毎日のように電話で何時間も宅見をヤレと催促されるので嫌々殺ったである。何を今更が読者のホンネだろう。確かに渡辺が宅見射殺を示唆したかも知れない。実際に盛力はこの電話の会話を中野が録音しているのか？或いは弘道会と司が盗聴して録音テープを元に弘道会クーデターで司が入江に親の仇は取らなあかんと迫り、五代目がガクンと堪忍したとなっている。この場に盛力はいなかったので中野自身も弘道会クーデター説には疑問を呈している。ただし宅見クーデター説の渡辺降ろしは認めている。しかし渡辺に同席していた側近の山健組系の組長＝井上が親分に向かってなんちゅう事を言うんや‼︎と口を挟むとおそらく司か？同席していた執行部の最高幹部から、直参でもない者は黙っとれと一喝され井上は口を閉ざした。まさにクーデターはあったのである。何より井上達山健組が六代目から離脱したことがクーデターがあった証明である。しかし渡辺が引退するから総裁でも顧問でもいいからワシを付けてくれ。じゃないとワシは殺されてまうと土下座さながらに命乞いした。これが山健組の人間には認められないのである。当代を蔑ろにするという表向きの理由と同時にクーデターを認めれば山健組の凋落を認めることになり、山健じゃ〜の自らのクビを絞めるに等しい。なので井上が山健組の定例会かなんかで側近達に漏らした話を盛力や溝口は山健組の現役幹部から聞きクーデターと語ったのである。ここで井上がもし親分に向かって言うことか‼︎と粘っていれば渡辺はもう少し惨めな最期を迎えずに済み司からイジメられることはなかっただろう。論より証拠である。山健組が失墜し弘道会の天下になった。つまり六代目は山健組の弱味を握り脅して引退さしたが真実である。中野の記憶も曖昧なようで、中野会の会長代行を務めた後に中野の推薦で五代目山口組直参に昇格し組長秘書を務めていた井奥会の井奥のような弟分を中野は宅見射殺事件時に中野会会長代行井奥が五代目執行部に唄ったからと述べているのだがとっくに直参の井奥のような弟分の肩書きすらハッキリと覚えていないのか？それとも宮崎が勝手に誤植しているのか？少なくとも現場の防犯カメラには中野会のヒットマンが撮影されており20年以上前のカメラ映像なので解析に手間取り、半年〜一年の時間を要しており物証が少ないので別件での指名手配に留めていた警察発表のカメラ映像の物証より五代目執行部は岸本と野上が現場で中野会の者と目撃している目撃談と井奥の証言から断定している。しかし中野はこの井奥のような弟分を嫌っていたと竹垣の証言にもある。私は中野会の会長代行だった井奥は中野に近く暗殺事件も知らされていたので二代目中野会があれば一番の跡目は井奥だと思っていた。次に中野会最期の若頭加藤眞介だと思っており、次に金山かな？と思っていたので中野が執行部に問い詰められ唄った井奥を毛嫌いしているのは意外だった。この執行部で唄った井奥の肩書きが、当時は五代目山口組直参で組長秘書だったと思うのだが中野の証言では中野会会長代行になっている。間違いなく間違えである。宅見事件当時は井奥は直参だった。盛力に中野会の残党を頼んだという話も中野自ら否定している。しかし私は中野会の幹部、名前は挙げないが和歌山に拠点があった幹部が大阪で盛力と会う段取りで途中で引き返したとの話を聞いていたので、中野自身が盛力に預けるのを嫌がったのか？何だかの事情で執行部采配で分けられたのか？中野の残党を二代目中野会として例えば加藤眞介に跡を取らすのは執行部が嫌がったので、中野会勢力を分散したかったと思う。実際に足立のように盛力会に行った人間も居たので盛力の話が100%嘘だとは思わない。若干盛ってはいるが………少なくても弘道会クーデターのシーンの盛力筆写は、かなりの信憑性があり一番面白かった。溝口もクーデター説なので盛力がネタ元なのか？盛力とネタ元が同じなのか？ただ盛力が現場にいないというオチはあるが……盛力が若い頃、渡辺と撮っていた写真。実は山健組幹部の集団写真で、その下に中野が座っていたのには笑った。何故か盛力も写っているのだが、盛力の顔にモザイクで隠されている………渡辺と中野以外盛力以外の幹部もモザイクなのだが………一番の笑いのネタだった。