ユリイカ2003年2月号 特集=カエターノ・ヴェローゾ進化する音楽・奇蹟の詩

私がこのムックを購入したのは2004年。発行からもう10年以上経つのに誰もレヴューを書かないので、私が書こう。ところで、古本でも5,000円〜15,000円とすごい値段になっている。カエターノ・ヴェローゾ関連記事はおよそ140ページで、インタヴュー、日本人音楽評論家らの解説、ディスコグラフィなどである。カエターノの他、ジャキス・モレレンバウン（プロデューサーでチェロ奏者）（9ページ）とアート・リンゼイ（6ページ）のインタヴューがある。共に一読の価値がある。ジャキスの父はオーケストラの指揮者。ジャキスはクラシック音楽家になるものと自身は考えていたが、ビートルズの影響で路線を変更している。また、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックに影響を受けたと述べている。アートは10代の頃、ブラジルに住んでいた。古ければ悪いというものではないが、カエターノのインタヴューは1990年で“Estrangeiro”発表当時のもの。写真を含めて12ページ。アート・リンゼイとの出会い、映画（ヴィム・ヴェンダース）などについて述べている。私が本書を購入した当時にはカエターノ関連記事しか読まなかったが、改めて読むと日本の航空イベントの歴史についての文章がある。大阪朝日新聞社の「神風号」のロンドン到達について述べている。（付記）この文章にはないが、この神風号の偉業を讃えて大澤壽人は「神風協奏曲」を作曲した。日本人によるカエターノについての文章にはくだらないものもあるが（香山リカ）、情報として概ね面白い。